夢と灯火

身辺雑記, etc. 主に気に入った音楽や漫画についての感想

2017-01-01から1年間の記事一覧

泉まくらの『春に』をめぐって

あしもと濁る薄い花びら 自分を重ねて怖くなったのは 大人が急に「もう子供じゃない」と 選択と決断を僕らに迫った頃 明日目が覚めればネクタイの結び目の仕組みを知る 戸惑いの中 置いてきぼりの春が来る 泉まくらの『春に』は、大学受験、そして卒業を迎え…

–– 曖昧模糊として、鮮烈な –– :サニーデイ・サービスの歌詞(「セツナ」)についての覚書

サニーデイ・サービスの曲を最近よく聴いている。楽曲の素晴らしさは、門外漢の私などが言いたてるまでもない。今日ここで、私的なメモとして書き留めておきたいと思っているのは、サニーデイの歌詞の世界についてだ。サニーデイの歌詞を読む・聴く人は、そ…

谷山浩子「月と恋人」について:満月の夜の狂ったダンス

① 曲の「禍々しさ」と回転のモチーフ 谷山浩子さんの歌詞の特徴に「得体の知れない禍々しさ」というものがある。一見、童話風の雰囲気を纏いながら、特定の読み方をすると凄惨な事件が浮かびあがるCOTTON COLORをはじめとして、陽気なメロディに乗って狂気が…

翼なき者の翼:アイドルマスター ミリオンライブ!「アイル」についての覚え書き

アイドルマスター ミリオンライブ ! から生み出された楽曲「アイル」、アイマス・ミリオンの多くのプロデューサー(このゲームのプレイヤーのこと)に衝撃を与えたこの曲は、すでに数多の感想、分析によって、その魅力が語られている。 ここですべての解釈を…

夢と現実の交わらない交差点:ピチカート・ファイヴ『東京は夜の七時』をめぐる覚え書き

いくつかの前置き ピチカート・ファイヴ (PIZZICATO FIVE)の「東京は夜の七時」は、その軽妙で「キャッチー」なメロディとは裏腹に、どこかとらえどころがない歌詞で聴き手に不思議な印象を残す楽曲だ。こういうとらえどころがない、難解といわれる歌詞を…